はじめに
債権管理のための入金消込は、大きく2段階に分離することができます。
1段階目は、債権先単位の消し込みで、2段階目は請求書単位の消し込みです。
1段階目は必須ですが、2段階目は同じ債権先に複数の請求がある場合、一取引につき分割請求をする場合など、請求書単位で管理する必要がある場合に行います。
また、1段階目は、月次決算確定のために速やかに行う必要がありますが、2段階目は月次決算後に時間をかけて分離して行うことができます。
さらに、1段階目は経理のみで行うこともできますが、2段階目は得意先担当者と得意先とのコミュニケーションが必要になり、通常時間もかかりますし、複数の請求に対する入金がどの請求に対応するかは、請求番号の古い順など機械的に行い、それでも一致しないものは推測、判断が必要となる場合があります。
取引先単位の消し込み(1段階目)
入金消込手続き
1段階目の取引先単位の消し込みは月次決算と密接に関係し、実在性と網羅性が重要です。
具体的には、銀行口座の入金の事実(外部証憑)をもとに実在性と網羅性を確保する以下の手続きを行います。
- 銀行口座の入出金を漏れなく会計帳簿に取り込み、銀行残高と会計上の銀行口座別の残高の一致を確認、確定させる
- 会計帳簿の入金のうち、債権回収に関する入金を識別する
- 債権回収とした入金の全てについて、債権回収先を特定する
- 勘定科目(売掛金、未収入金、前受金、前受収益など)を識別する
- 銀行手数料、為替差損益を認識する
- 勘定科目別、取引先別の債権債務残高(前受金、前受収益などは債務)を確認する
消込時の勘定科目(売掛金、未収入金、前受金、前受収益などの混在)の識別方法
入金消込時の勘定科目が全て「売掛金」であれば会計処理は単純ですが、実際には同じ取引先からの入金には売掛金と前受金など複数の勘定科目で処理すべき入金が混在しています。しかもそれは、一つの入金(例:A社より20X1/5/10に100円入金。売掛金に対応70円、前受金に対応30円)の場合があります。
これに対応するためには、入金予定の管理と、入金予定ごとに取引先と勘定科目を予め識別しておくことで自動化が可能となります。具体的には、「収益認識基準に対応した業務プロセスのDXパターン」の「前払い」を参考にしてください。
ツバイソPSAでは、【請求】から【入金予定】を作成し、【入金予定】をツバイソERPにAPI連携することができます。取引先単位の消し込み(1段階目)は、ツバイソERPの入金消込機能によって自動化することが可能です。
一般の会計ソフトを使用する場合は、入金予定をレポート機能でエクスポートし、消込仕訳にデータ加工し会計ソフトにインポートすることができます。
請求書単位の消し込み(2段階目)
請求書単位の消込の方法には、個別に消し込みする方法、一括で消し込みする方法、消込データをインポートする方法の3種類があります。
個別に消し込みする方法
請求のリストビュー「債権回収」を開いてください。
「未回収残高」があるものが表示されます。
消込の方法は二つあり、一つは、以下のように個別に「入金日」と「回収金額」を登録する方法です。
一括で消し込みする方法
もう一つは、以下のように、「入金予定日」と「請求金額(税込)」を一括自動設定する方法です。
まず、一括設定したいレコードをチェックします。Shiftキーを使うとまとめてチェックできます。
次に、「入金日と回収金額を自動設定」を押します。
チェックして、「n個の選択済項目を更新」をチェックすると選択したn個のレコードをまとめてチェックできます。一回あたり200個のレコードをまとめてチェック可能です。
保存ボタンを押します。
そうすると、以下のように「入金日」と「回収金額」が設定され、「未回収残高」が計算されます。
一旦、一括設定しておき、後から、個別に修正することで入力を簡便化することもできます。
消込データをインポートする方法
エクセルで消し込みした方がやりやすい場合は、レポート「口座別入金予定日別請求先別債権管理」からエクスポートして、エクセル上で消し込みを行い、それをDBとしての「請求」にインポートすることもできます。
Google スプレッドシートを使って自動更新することも可能です。
債権残高(消し込み結果)の確認
入金消込をした結果、債権残高の妥当性を確認するために、入金される銀行口座別、入金予定日別、請求先(債権管理対象)別に債権管理、入金状況がわかる口座別入金予定日別請求先別債権管理レポートで確認したり、請求先別部門別債権年齢表レポートによって漏れや誤謬がないかを確認します。
入金消込の際に、レポートと両睨みしながら業務を行うと精度が高くなります。