はじめに
ここでは、フォーキャスト(forecast)について見てみましょう。
フォーキャストは、業務プロセスの上流工程(計画、引き合い、見積、受注、納品、売上における売上より前の工程)で作成し、上流であるほど、その業務プロセスを行なっている時点から見ると、遠い将来の数字を管理できていることとなります。
フォーキャスト管理の難しさは、これを行うために必要な膨大なコストにあります。
まず、下流工程の売上、仕入経費などの確定発生データのみで業績把握、月次決算するのが一番低コストです。(入金、支払いのデータで業績把握(現金主義会計)はさらに低コストです。)
これに対して、上流プロセスから業務進捗に対応したフォーキャスト算出は、数十倍から数百倍のコストになります。それは以下の理由によります。下図も参考にしてください。
- 売上プロセスで言えば、売上データのみ集計するよりも計画、引き合い、見積、受注、納品のそれぞれでデータ(仕訳)を作成することにより、単純に5倍のデータ量になる
- 上流プロセスのデータは変動する(金額、日付など)ため、変更をリアルタイムに把握し、それぞれのデータで再計算、再集計が必要となる
- 財務会計よりも細かいデータ把握(部門、セグメント、得意先、商品、担当者など)が必要である
- データの発生源となるプロセス、組織が増えるためコミュニケーションが増大する
- フォーキャストはその性質上リアルタイム性が求められる。5営業日の月次決算というレベルではなく、日次、リアルタイムで企業活動の変化を反映できる必要がある
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損益を把握するためには原価についてのフォーキャストが必要であり、原価は売上よりもデータ量が多い(1つの売上の裏側にnの原価が発生)
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内部取引にかかる原価計算(労務費、間接費)が日次、リアルタイムで必要となる
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正しい損益計算のためには将来の棚卸資産(仕掛品)計上が必要
これらの要素を掛け算すると簡単に数十倍から数百倍のコストになります。
当然システム化されている必要がありますが、フォーキャスト把握のためにデザインされていないバラバラの業務システムをつなぎ合わせても限界があり、全ての業務、機能においてフォーキャストを把握できるようデザインされた基幹システムを利用する必要があります。
計画、引き合い
ツバイソPSAでは、特定の案件の損益計画を立てることもできますし、まだ具体化していない案件であったり、部門、チーム、セグメントレベルの計画や予算を立てることもできます。「案件」は「案件種別」で「予算管理用」などを選択して「通常」案件と分けて管理することができます。
チーム単位の案件計画・予算であれば、案件の親子構造を使って、予算実績管理を行うことも可能です。案件は3階層まで階層化することができます。
具体的にみていきましょう。
「案件:笹塚カフェPOSレジ導入案件」の「管理会計」タブを開いてください。
「次へ」を押して、会計計上日(開始)と作成月数を登録することで、任意の月次の案件計画(損益計画)が作成されます。
- 会計計上日(開始):20X1/09/30
- 作成月数:3
案件計画を作成すると「管理会計2」のレコードとして、3行作成されます。管理会計種別は「案件」です。スクロールすると管理会計種別が「見積」「受注」「納品」「発注」「検収」などが表示されますがこれはどの業務(オブジェクト)から管理会計レコードが作成されたかを表しています。これにより、どの業務から作られた数字かを区別して、フォーキャストに利用することができます。
次に、「案件計画のメンテナンス」を開いてください。
月次の損益計画を入力できる画面が表示されますので、鉛筆マークをクリックして金額を登録してください。
※項目の編集ができない場合は、「項目編集を有効化」ボタンを押してください。
「案件損益予算実績月次推移表」を開いてみましょう。
20X1/10月の「計画」の列に売上高として¥500,000計上されていることが確認できます。
「集計区分」の見込み、予定、実績などは、「管理会計種別」が見積、受注、納品、売上に計上されたものを「集計区分」に分類分けする設定により行なっています。(会社の定義によりカスタマイズ可能)
これにより、部門別、月次で計画、見込み、予定、実績の進捗が一目瞭然となります。
※科目が縦ではなく横になっている場合は、下の方の「積み上げ集計」をONにしてください。
内訳を知りたいときは、該当箇所をクリックしてください。
以下のように、内訳の管理会計レコードが表示されます。レコードのID(MA-XXXX)をクリックするとさらに詳細を把握して、この数字を生成した業務のレコードまでリンクを辿ることができます。