はじめに
見積業務では、将来の売上高、原価、損益の算定において、具体的な取引先があり、見積要求がある点で、計画や引き合いよりも精度と確度が高く、客観的なフォーキャストを算出することができます。
見積からフォーキャストを自動算出し、トップマネジメント層はそれらの集計レポートから会社の将来業績やリスクを把握し、ミドルマネジメントは、受注後の業務進捗に応じて変化する納期や案件メンバーが登録する原価と比較しながら損益管理、計画値の見直しなどのPDCAサイクルを行い、これをもってミドルマネジメント、案件メンバーの成績評価を行うことができます。
フォーキャストや実績をリアルタイムに自動算出することができると、トップマネジメント、ミドルマネジメント、現場スタッフまでの神経が繋がり、組織規模が大きくても俊敏な経営ができるようになります。
早速その方法を見ていきましょう。
見積
「笹塚カフェPOSレジ導入案件」の【見積】を開いてください。
続いて、「管理会計」タブを開いてください。
画面の下の方に当該見積に関する「管理会計2」が表示されています。このデータを使用して、以下の月次損益のフォーキャストを作成します。
- 商品・サービス別月次見積損益
- 商品サービスセグメント1別月次見積損益
標準原価計算方式
損益計算をするための原価計算は、標準原価計算方式と個別原価計算方式の二種類で自動的に行われます。
まず、標準原価計算方式を確認してみましょう。標準原価計算方式の「商品・サービス別月次見積損益」を開いてください。
このようなレポートが表示されます。(「積み上げ集計」にチェックがついていなければつけてください。)
これは、9月に見積業務をおこなっている時点で自動計算された10月から12月までのフォーキャスト、商品・サービス別の月次の売上、原価、損益見込みを表しています。
以下、商品・サービス別に見ていきましょう。
POSレジ
[売上高200,000]は、見積明細に登録した金額が集計されます。
[商品仕入高120,000]は、【商品・サービス】に設定した「仕入単価(税抜)」により計算された「見積明細」における「見積原価(税抜)」が集計されます。
これにより10月のPOSレジにかかる[売上高総利益80,000]がフォーキャスト計算されています。
POSレジ導入支援サービス
POSレジとの違いは売上原価にあります。
[標準原価210,000]は、【商品・サービス】に設定した「原価標準」により計算された「見積明細」における「標準制作原価」が集計されます。
原価計算を標準原価によっている点が後程説明する個別原価計算方式と異なる点です。
標準原価計算方式は、「商品・サービス」を設定するのみで簡単、スピーディに原価が自動計算されるメリットがあります。
ライセンス
ライセンスは12ヶ月間の契約として見積もっているため、10月より毎月[売上高10,000]、[商品仕入高2,000]がフォーキャスト計上されています。(上記の表は10月から12月までに期間を絞っていますが、皆さんの手元では12ヶ月間表されていると思います。)
このように、【見積】で明細を登録するだけで月次の商品・サービス別のフォーキャスト(9月見積もり時点で10月以降12ヶ月間のフォーキャスト)を自動作成してくれます。素晴らしいですね。
フォーキャストに必要な会計計上日は、「商品・サービス」の「収益認識の方法」が「検収」の場合は「納入期限」とし、「期間収益」「T&M」の場合は「納入期限」から「期間」または「見込期間」分の月末日付としています。
見積の明細数が多い場合は、商品・サービス別だと細かすぎるため、商品・サービスに設定したセグメントで集計することができます。それが「商品サービスセグメント1別月次見積損益」です。
個別原価計算方式
次に個別原価計算方式を見ていきましょう。
「葛城ECサイト構築」の【見積】を開いてください。
続いて、「管理会計」タブを開いて、個別原価計算方式の「商品・サービス別月次見積損益」を開いてください。
見積もり業務をおこなっているのが8月ですから、8月時点で、10月以降12ヶ月間のフォーキャストが自動計算されています。
以下、多少会計知識が必要ですが、丁寧に説明しますのでついてきてください。
合計
まず、一番下の合計から見ましょう。
保守料が毎月発生するので12ヶ月間の横長のフォーキャストになりますので、ここでは10月から1月までの期間に絞っています。
一番右側の合計を見てください。これが10月から1月までの合計のフォーキャストPLになります。
[売上高6,060,000]、[売上原価5,152,000]で[売上総利益908,000]となっています。
次に、月次のフォーキャストを見ていきましょう。
10月
[(制)労務費560,000]、[(制)制作間接費143,000]で[制作費用703,000]が計上されています。
その下の[仕掛品たな卸高703,000]と[売上原価0]に注目してください。
12月の売上計上のための制作業務であるため、10月時点では売上原価とならず、仕掛品として計上される必要がありますが、そのように計算されています。具体的には、「制作指図」から作成した原価は、「引渡予定日」までは制作指図に関連する「原価計算票」の「原価会計処理方法」に従って、たな卸資産等へ振り替えられ、「引渡予定日」に全額洗い替えが行われることによりフォーキャスト計算しています。
このように、見積業務を行うだけで、複雑な原価計算(労務費計算、制作間接費計算)や会計処理を行わなくても自動で正しいフォーキャストが計算されます。
上記の通り、このフォーキャストは感覚やAIによるものではなく、ツバイソPSAで行った日々の活動が、論理の積み上げによって、曖昧性なく客観的に説明可能な数字として自動計算されることに大きなメリットがあります。
11月
11月も10月と同様、仕掛品計上により、[仕掛品たな卸高3,283,000]、[売上原価0]となっています。
11月は労務費、制作間接費に加えて、[外注費2,500,000]が検収予定日によりフォーキャスト計上されていますが、11月時点では未完成の予定のため売上原価とはなりません。
12月
【見積】で、ECサイト構築の納入期限が12月としているため、12月に[売上高6,030,000]がフォーキャスト計上されています。
また、12月にも[労務費900,000]、[制作間接費226,000]が発生しています。
12月に売上計上予定なので、これに伴ない、10月11月に仕掛り計上した[仕掛品たな卸高3,986,000]が原価計上されます。
さらに、12月から計上の保守[売上高30,000]フォーキャスト計上に対応して、[標準原価20,000]がフォーキャスト計上されています。
これにより[売上原価5,132,000]が計上されます。
上記により10月11月まで[売上総利益0]でしたが、ようやく12月に[売上総利益898,000]がフォーキャスト計上されました。
1月
1月以降は保守契約による[売上高30,000]のみとなります。保守契約の[標準原価20,000]が計上され、[売上総利益10,000]がフォーキャスト計上されます。
商品サービス別のフォーキャスト
合計から検討しましたが、これらの月次フォーキャストPLを構成する商品・サービスごとの内訳が表の上側に表示されています。
商品・サービス別だと細かすぎる場合、あるいは、商品・サービスをまとめてセグメントで管理している場合は、「商品サービスセグメント1別月次見積損益」を開いてください。商品サービスセグメントは3種類、5階層まで管理できますので、柔軟な集計、分析が可能です。
受注確度別(ABC)集計
【案件】で設定した受注の「確度」(A, B, C, D, E)がフォーキャストの集計基となっている管理会計レコードに設定されています。
これを条件に、一定の受注確度のみ集計することが可能です。
ドリルダウン
ツバイソPSAのフォーキャストは客観的な根拠があります。
フォーキャストの結果から、根拠となったレコードを調べたいときは、該当の枠をクリックしてください。
下にそのクリックしたPLを構成するレコードの一覧が表示されます。この中から詳細に調べたいレコードをクリックして検証することができます。