はじめに
基幹システムであるツバイソPSAは一定の手順に沿って導入する必要があります。
しかしながら、企業規模が小さい場合、事業部単位での導入する場合、現行システムや運用への影響が限定的な場合、大きなカスタマイズを行わない場合は簡易的な導入も可能です。
以下、簡易導入と通常導入に分けて説明します。
導入工程
簡易導入の方法は、本番環境と開発環境を分けずに、本番環境に直接マスタやシステム設定を行う方法です。運用テストはPartial Copy Sandboxという本番環境とマスタデータがコピーされた環境で行い、運用テストの中で検討したマスタやシステム設定を本番環境に設定し、再度Partial Copy Sandboxを本番環境と同期更新して運用テストを繰り返します。開発環境から本番環境構築を行わないため少ない工数ですむメリットがあります。
通常導入の方法は、本番環境と開発環境を明確に分離して構築する方法です。開発環境のSandboxでマスタやシステム設定を行い、運用テストを行います。運用テストが合格するまでは本番環境のシステム設定やマスター登録は行いません。運用テスト合格後に、本番構築、データ移行という工程を行います。
工程 | 担当 | 内容 |
契約手続き | お客様および当社 |
・ライセンス申込書のご提出(電子署名) ・ヘルプデスク契約(電子署名)【オプション】 ・導入支援契約の取り交わし(電子署名)【オプション】 ・ライセンス料金のお支払い【前払い】 |
環境構築 | 当社 |
・ライセンス発行 ・以下の3環境を構築 |
設計 |
お客様 (導入支援契約有りの場合は共同) |
・業務運用設計 |
マスタ・システム設定 | お客様 (導入支援契約有りの場合は共同) |
・簡易導入は、本番環境にて実施 ・通常導入は、Sandbox環境にて実施 |
運用テスト | お客様 (導入支援契約有りの場合は共同) |
・簡易導入は、本番環境からPartial Copy Sandboxを作成して実施 ・通常導入は、Sandbox1をコピーして実施 |
本番構築 | お客様 (導入支援契約有りの場合は当社) |
・簡易導入は、本番環境は構築済のため不要 ・通常導入は、必要 |
トランザクションデータ移行 | お客様 (導入支援契約有りの場合は共同) |
・原則行わない。新規取引よりツバイソPSAを利用する |
運用開始 | お客様 (導入支援契約有りの場合は共同) |
・社員教育、社内展開 ・社内サポート ・継続的改善 |
環境構築
ライセンス契約完了後、当社にてライセンスを発行し、5営業日程度で以下の3環境を構築します。
本番環境(テンプレートマスタ設定済)
テンプレートマスタを設定した本番環境です。簡易導入ではこの本番環境に対してマスタ・システム設定を行います。
テンプレートマスタは、マスタ一覧のうちテンプレートとして○がついているマスタです。
Sandbox1(テンプレートマスタ設定済)
テンプレートマスタを設定したSandbox(開発環境)です。通常導入では、この開発環境に対してマスタ・システム設定を行います。
業務運用設計を行う場合にも使用します。Sandbox1を複数コピーして担当や部署を分けて検討することができます。
Sandbox2(トライアル環境。サンプルデータあり)
サンプルデータがインポートされたSandbox(トライアル環境)です。業務運用設計に使用します。
最大90日間使用できます。
設計
自社の業務構造を整理し、ツバイソPSAにおける業務運用設計を行います。設計はSandbox1をコピーした環境またはSandbox2を使用して試行錯誤しながら行います。最初はサンプルデータがあるSandbox2から検討を始めるのがおすすめです。
まず、主要な業務シナリオを抽出・類型化し、業務シナリオ表を作成します。この業務シナリオは、運用テストでも使用することになります。
業務シナリオを使用して、ツバイソPSAのデータ構造、機能をベースに業務モデルを設計し、図式化します。業務モデルの作成は、収益認識基準に対応した業務プロセスのDXパターンを参考に行ってください。
最適な業務モデルを作成するためにはツバイソPSAのデータ構造、機能の理解が重要となります。Sandbox2を使用してチュートリアルを行い、ツバイソPSAの理解を深めてください。チュートリアルで概要を掴んだら、以下の業務プロセスごとに理解を深めてください。
マスタ・システム設定
簡易導入
簡易導入では、マスタ・システム設定を本番環境に直接行います。
通常導入
通常導入では、マスタ・システム設定をSandbox1をコピーした開発環境で行います。
後ほど本番環境に対してマスタデータのインポートやシステム設定の変更セットによるリリース(参考:変更点のリリース)を行うことになるため、構築手順書にまとめておきます。
承認プロセス、権限セット、共有条件ルールは変更セットでリリース可能です。(参考:変更セットで使用可能なコンポーネント)
マスタ設定
業務運用設計、管理会計方針に沿ってマスタ設定を行います。
マスタ設定については、ツバイソPSA導入時のマスタ設定についてを参考にしてください。
テンプレートマスタは必要に応じて修正してください。
承認プロセス設定
ツバイソPSAの承認プロセスのチュートリアルを利用して機能を理解してください。承認フローのカスタマイズが必要な場合は【ツバイソPSA承認フロー】のカスタマイズ方法を参考に設定してください。
セキュリティ設定
アクセス権限管理の設計・運用方法を参考にアクセス権限の設定を行なってください。
運用テスト
簡易導入
簡易導入では、本番のコピー環境であるPartial Copy Sandboxで運用テストを行います。作成方法は、Partial Copy Sandboxの作成方法を参考にしてください。
運用テストでは設計時に抽出した業務シナリオを使用して、運用の検討を行います。検討の結果、マスタ・システム設定を修正する場合は、本番環境を修正します。
運用テストの段階から運用開始時の社内展開、運用開始後のサポート、業務改善の中核を担うキーユーザーに参加してもらいます。
運用テストを行いながら設計時に作成した業務シナリオ、業務モデル図をベースに業務マニュアルを作成します。パス機能を使うことで業務マニュアルを補完、代替することができるため、活用をお勧めします。
レポート、リストビューの設定も運用テストで検討し、本番環境に設定します。
定期的に本番環境からSandboxの更新を行い、本番と同じ状態に同期して運用テストを行います。(Partial Copy Sandboxは更新間隔を5日間空ける必要があります。)
通常導入
通常導入では、マスタ・システム設定を行ったSandboxのコピー環境で運用テストを行います。運用テストの環境が異なりますが、運用テストで行うことは簡易導入と共通です。
マスタ、システム設定に関する修正がある場合は、本番環境の構築手順書のアップデートも行います。
Sandboxのコピーは、Sandboxのコピーを参考に行なってください。
Sandbox のコピーに関する FAQも参考にしてください。
本番構築
簡易導入
簡易導入では、本番環境は既に作成されているため、この作業は不要です。
通常導入
通常導入では、本番環境に対して、Sandboxで作成したマスタデータのインポートやシステム設定の変更セットリリースを構築手順書に基づいて行います。
トランザクションデータ移行
原則として既存のトランザクションデータの移行は行わず、新規のトランザクションから新システムで運用開始します。
既存のトランザクションデータの移行を行う場合は、仕掛り中トランザクションデータの移行方法を参考にしてください。
運用開始
運用テストで作成した業務マニュアルを使用して社員教育、社内展開を行います。
運用開始から業務改善が本格的にスタートします。キーユーザーとともに社内ユーザのサポートを行うとともに、継続的な業務改善を行います。
ユーザーの運用サポートに、以下の機能が活用できます。
- パス機能
- 業務のフェーズごと(例:見積の「見積準備中」フェーズ)に必ず行ってもらいたいこと、項目の設定のガイドに活用できます。運用変更時にもこの表示を更新して全社員に周知させることができます。
- アプリケーション内ガイダンス
- パスの「重要な項目」や「成功へのガイダンス」が変更された時にそれを周知したり、バージョンアップにより新機能の運用を促したいときにガイダンスを表示させることが可能です。システム管理者でなくても、「プロンプトを管理」という権限が付与されたユーザが設定できるので、現場リーダーなどに委譲して、きめ細かい運用が可能です。