はじめに
顧客に提出する見積書を作成するにあたり、原価を見積もる工程、制作予算(実行予算)計画を行うケースを見ていきましょう。
まずは、見積工程を行うために見積レコードを作成します。
見積を作成する
先ほどの案件レコードが開いている状態で、「見積プロセス」フェーズを選択し、「現在のフェーズとしてマーク」押してください。
「ステップ」タブの「見積」タブが開いていることを確認して「次へ」を押してください。
【案件】フェーズ:見積プロセス
「ステップ」タブを選択してください。
「(案件)見積を作成」の「次へ」を押して、見積レコードを作成してください。あらかじめ自動設定されているので「見積を作成」を押すだけです。
- 件名:進行基準売上「収益認識に関する会計基準の適用指針」の[設例9]_2023/05/31
- 得意先:葛城株式会社
- 担当者:佐藤藤吉
- 納入期限:20X2/01/31
作成した見積レコードに移動「する」として、作成した見積レコードに移動しましょう。
「見積計画」フェーズに移動して、「ステップ」タブを開いてください。
【見積】フェーズ:見積計画
タブ:見積計画【省略可】
- 契約目標日:20X1/10/31
- 見積要求日:20X1/08/01
- 見積書送付予定日:20X1/09/01
タブ:明細
「明細」タブから追加ボタンを押して、明細を2つ登録しましょう。
「エレベーター」は受注発注品の商品で、毎回、受注後にベストパートナーから仕入れる商品です。設例では以下の通りの扱いとしており、A社としてはエレベーター工事については毎度このような取り扱いとしているため、商品・サービスに売価と原価を1,500,000で設定していることとします。
A 社は、エレベーターの調達原価を進捗度の見積りに含めると、自らの履行の程度を過大に表示することになると判断し、
本適用指針第 21 項及び第 22 項に従って、進捗度の見積りにおいて、
エレベーターの調達原価 1,500 千円を発生したコスト及び取引価格から除外する。
また、A 社は、エレベーターの移転に係る収益をエレベー ターの調達原価 1,500 千円と同額(すなわち、利益相当額はゼロ)で認識する。
「エレベーター工事」は、この後、制作指図レコードにて原価を見積もりますので、現時点では金額をブランクにしておきます。
- 明細1
- 商品・サービス:エレベーター
- 見積明細表示名:エレベーター
- 数量:1
- 表示単位:基
- 単価(税抜):1,500,000
- 単位あたり見積原価(税抜):1,500,000
- 仕入先:ベストパートナー株式会社
- 受注発注品:チェック
- 商品・サービスセグメント1:物販
- 続けて作成:チェック
- 明細2
- 商品・サービス:工事 ※検収
- 見積明細表示名:エレベーター工事
- 数量:1
- 表示単位:式
- 単価(税抜):(空白)
- 単位あたり見積原価(税抜):(空白)
- 受注制作品:チェック
- 商品・サービスセグメント1:役務提供
(発展)
社内において管理する見積明細と顧客に提出する書面としての見積書が異なる場合があります。後工程の会計処理や管理会計の観点と見積書としての表示を明細レベルでどの程度一致させられるかは運用設計が必要です。
自動化を行うためにはツバイソPSA上の見積明細と提出用の見積書の明細を一致させられると良いですが、これが難しい場合は、見積書はツバイソPSAとは別にエクセル等で作成し、見積レコードにファイル添付により紐付け、大/中項目レベルの内訳や合計が一致していることを管理する運用が考えられます。
タブ:制作指図
「制作指図」タブを開いて、制作指図を作成してください。
制作指図オブジェクトは、制作/プロジェクト工程の原価見積(実行予算)と制作開始後の原価管理を行うオブジェクトです。
先ほど作成した「エレベーター工事」を選択して「次へ」を押してください。
- 件名:エレベーター工事
- 担当者:佐藤藤吉
- 納入予定日:20X2/01/31
「作成した制作指図レコードに移動する」を選択して制作指図レコードに移動してください。
制作指図
【制作指図】フェーズ:制作・納品計画
タブ:サマリー
「サマリー」タブが開いていることを確認し、各項目を入力します。
- 着手予定日:20X1/11/01
タブ:調達
「調達」タブ>「調達依頼」タブを開いて、調達依頼レコードを作成してください。
- 調達依頼件名:エレベーター工事
- 仕入先:ベストパートナー株式会社
- 担当者:佐藤藤吉
- 納入期限:20X1/12/31
作成した調達依頼レコードに移動しましょう。
調達依頼
【調達依頼】フェーズ:調達依頼準備中
タブ:明細
「調達依頼準備中」フェーズに変更して、「明細」タブを開き、「追加」ボタンを押してください。
明細に以下を登録してください。
- 商品・サービス:(制)外注費 ※検収
- 表示名:エレベーター設置工事
- 数量:1
- 単位:式
- 単価(税抜):1,500,000
制作指図
【制作指図】フェーズ:制作・納品計画
タブ:配員
再度、制作指図レコードに戻って、配員(人員の割り当て)を行いましょう。
前回、中谷みゆき、加藤康介を案件メンバーに加えていなければ、「調達」タブの横の「配員」タブ>「案件メンバー登録」タブから「新規」を押して追加してください。
配員するには、「配員作成」タブを開き、「次へ」を押します。
- 人件費レートマスタが設定されている:チェック
- 配員開始日:20X1/11/1
- 配員作成月数:3
- 配員作成対象者:佐藤藤吉、加藤康介、中谷みゆき
- タイムチャージ対象名:エレベーター工事
- この後、次の配員のためのToDoを設定「しない」
配員レコードが9レコード(3名 * 3ヶ月)作成されていることを確認し、「配員予定時間の設定」をクリックしてください。
※配員レコードの作成に数分時間がかかる場合があります。
毎月一人10時間ずつ配員しましょう。
右上の「項目編集を有効化」を押すと編集が可能になるので、「月次予定時間合計(時間)」に配員時間を入力しましょう。これで人件費予算と制作間接費予算が自動計算されます。
タブ:サマリー
制作予算の設定を行いましょう。
再度、制作指図レコードに戻り、リロードして「サマリー」タブの金額情報を見てください。
調達依頼オブジェクトが「調達予算」として、配員オブジェクトが「人件費予算」と「制作間接費予算」として集計されていることがわかります。この合計が「制作予算(自動計算)」として集計されます。
続いて、「制作予算」を設定します。制作予算が進行基準の「進捗度」に(制作原価(原価計算票) / 制作予算)の計算式で使用されます。「制作予算(自動計算)」はあくまで参考情報です。
制作予算:2,500,000
制作予算によって進捗度が異なりますので、必要に応じてメンテナンスする必要があります。
なお、制作予算の変更履歴は「関連」タブにある「制作指図の履歴」で自動記録されます。
タブ:収益認識
収益認識基準の設定を行いましょう。
上記までは進行基準に関わらず共通の制作予算計画、原価管理です。
次に、「収益認識」タブで「収益認識基準」を進行基準に変更し、「進行基準売上予定金額」を設定しましょう。
- 収益認識基準:進行基準
- 進行基準売上予定金額:3,500,000
タブ:管理会計
月次進行基準損益フォーキャスト
進行基準の売上と原価の月次計画値を作成することができます。
「管理会計」タブから月次進行基準損益フォーキャストを開きましょう。
「進行基準売上予定金額」または「納品金額(税抜)」と「制作予算」を使用して、「着手予定日」または「着手日」から「納品予定日」までの期間で自動的に按分計上されます。
必要に応じて「項目編集有効」モードで数字を修正することができます。編集する場合は、各レコードの「編集可」をチェックされた状態で可能となります。今回は変更しないでおきます。
「進行基準売上予定金額」「納品金額(税抜)」「制作予算」「着手予定日」「着手日」「納品予定日」が変更されると自動的に再計算、再作成されます。
「保護」をチェックすることで、上記の場合でも再計算、再作成が行われなくなります。今回は保護しないでおきます。
見積
原価見積(実行予算)ができたので、見積レコードに「エレベーター工事」の見積金額を登録しましょう。
先ほどの見積レコードを開いてください。制作指図レコードの案件から移動したり、制作指図レコードの関連タブから直接見積レコードに移動することも可能です。
フェーズ:見積準備中
「見積準備中」フェーズに移動し、「明細」タブを開きます。
「エレベーター工事」は、上記で原価を見積もった結果、売価を3,500,000としたため、以下を登録しましょう。
単価(税抜):3,500,000
ここでは、見積書の記載内容の編集、承認プロセス、送付管理は省略します。