Index
はじめに
本ページでは、ツバイソERPの月次推移表における棚卸資産の繰越表示機能について説明します。
三分法で棚卸資産を管理している場合、毎月の仕訳は当月の在庫増減額のみを記録するため、月次推移表上の期首・期末たな卸高が直感的な在庫残高と一致しないことがあります。本機能を使うと、仕訳データを変更せずに、月次推移表の表示のみを在庫の期首・期末残高に基づいた値に調整できます。
繰越表示ありと繰越表示なしの違い
本機能の効果を理解するために、繰越表示の有無による月次推移表の違いを示します。
以下の前提で説明します。
- 4月が決算期首、期首在庫100
- 4月: 仕入500、期末在庫200
- 5月: 仕入600、期末在庫150
繰越表示なし(従来の表示)
各月の純発生額がそのまま表示されます。
| 勘定科目 | 4月(期首月) | 5月 |
| 期首商品棚卸高 | 100 | 0 |
| 当期商品仕入高 | 500 | 600 |
| 合計 | 600 | 600 |
| 期末商品棚卸高 | 200 | -50 |
| 売上原価合計 | 400 | 650 |
5月の期首商品棚卸高が 0、期末商品棚卸高が -50 と表示されます。仕訳上は正しいのですが、「5月時点の在庫がいくらか」を推移表だけで把握するのが難しくなります。
繰越表示あり(本機能を使った場合)
前月の期末在庫を繰り越して、各月の期首・期末在庫が実際の残高として表示されます。
| 勘定科目 | 4月(期首月) | 5月 |
| 期首商品棚卸高 | 100 | 200 |
| 当期商品仕入高 | 500 | 600 |
| 合計 | 600 | 800 |
| 期末商品棚卸高 | 200 | 150 |
| 売上原価合計 | 400 | 650 |
5月の期首商品棚卸高が 200(= 4月の期末在庫)、期末商品棚卸高が 150 と表示されます。各月の「期首在庫 → 仕入 → 期末在庫」の流れが自然な形で確認でき、月次での売上原価や粗利の把握が容易になります。売上原価の合計はどちらの表示でも同じです。
対象となる勘定科目
本機能は、勘定科目マスタの決算書区分(画面表示名: BSPL区分)が以下の区分に該当する勘定科目で利用できます。
| 決算書区分 | 帳票名 | 対象科目の例 |
| pl | 損益計算書(PL) | 商品期首たな卸高、商品期末たな卸高、製品期首たな卸高、製品期末たな卸高 |
| pc | 製造原価報告書(PC) | (製)原材料期首たな卸高、(製)原材料期末たな卸高、(製)仕掛品期首たな卸高、(製)仕掛品期末たな卸高 |
BS(貸借対照表)区分の勘定科目には設定できません。
設定方法
Step 1:勘定科目マスタを開く
管理者メニュー > マスタ管理> 勘定科目マスタ から、繰越表示を設定したい勘定科目の編集画面を開きます。
Step 2:繰越元勘定科目を設定する
「繰越元勘定科目」の項目で、残高を引き継ぎたい元の勘定科目を選択します。ここで指定した勘定科目の前月までの累計額が、当月の表示金額に加算されます。選択肢には同じ決算書区分の勘定科目のみ表示されます。繰越を使わない場合は「なし」を選択してください。
具体的にどの科目に何を設定するかは「設定例」セクションを参照してください。
Step 3:更新する
設定を更新すると、次回以降の月次推移表で繰越表示が適用されます。
設定例
PL科目の設定例(商品棚卸)
「商品期末たな卸高」を翌月に繰り越す場合の設定です。
| 設定対象の科目 | 繰越元勘定科目 | 貸借区分 | 説明 |
| 商品期首たな卸高 | 商品期末たな卸高 | 借方 | 前月の期末在庫を当月の期首在庫として表示 |
| 商品期末たな卸高 | 商品期末たな卸高 | 貸方 | 前月までの累計に当月分を加算して表示 |
PC科目の設定例(製造原価の原材料・仕掛品)
製造原価報告書の棚卸科目を翌月に繰り越す場合の設定です。
| 設定対象の科目 | 繰越元勘定科目 | 貸借区分 | 説明 |
| (制)原材料期首たな卸高 | (制)原材料期末たな卸高 | 借方 | 前月の原材料期末在庫を当月の期首在庫として表示 |
| (制)原材料期末たな卸高 | (制)原材料期末たな卸高 | 貸方 | 前月までの累計に当月の原材料増減を加算して表示 |
| (制)仕掛品期首たな卸高 | (制)仕掛品期末たな卸高 | 借方 | 前月の仕掛品期末在庫を当月の期首在庫として表示 |
| (制)仕掛品期末たな卸高 | (制)仕掛品期末たな卸高 | 貸方 | 前月までの累計に当月の仕掛品増減を加算して表示 |
注意事項
- 本機能は月次推移表における表示上の調整です。仕訳データが自動作成・更新されることはありません。
- 試算表および決算報告書(年次)の表示には影響しません。影響を受けるのは月次推移表のみです。
- 繰越元勘定科目は、設定対象と同じ決算書区分の勘定科目のみ指定可能です(PL → PL、PC → PC)。
- BS区分の勘定科目には設定できません。
- 各月の棚卸仕訳の入力(実地棚卸等に基づく修正)は、貴社の会計方針に基づき実施してください。
参考: 表示ロジックの詳細
基本的な計算式
表示金額 = 当月の発生額 + 繰越元勘定科目の前月までの累計額
期首月の扱い
期首月(会計年度の最初の月)では繰越計算は行われません。当月の発生額がそのまま表示されます。繰越が適用されるのは2ヶ月目以降です。
累計額の計算
期首月以外の各月について、繰越元勘定科目の期首月から前月までの発生額を合計し、累計額とします。この累計額が当月の発生額に加算されて表示金額になります。
繰越元と繰越先の符号の扱い
繰越元勘定科目と設定対象の勘定科目が同じ場合(例: 商品期末たな卸高 → 商品期末たな卸高)、累計額はそのまま加算されます。異なる場合(例: 商品期末たな卸高 → 商品期首たな卸高)、貸借区分の違いを調整するため累計額の符号を反転して加算します。
これは、期末たな卸高(貸方)と期首たな卸高(借方)で貸借区分が異なるためです。繰越元と繰越先が同一科目かどうか、および各科目の貸借区分に基づいて符号を自動判定しています。
計算イメージ(数値例)
期首たな卸高が100円の会計年度で、期首月に棚卸仕訳1,000円、翌月に500円を登録した場合の内部計算は以下のとおりです。
| 表示科目 | 期首月(1ヶ月目) | 翌月(2ヶ月目) | 計算内容(2ヶ月目) |
| 商品期首たな卸高 | 100 | 1,100 | 前月までの期末累計 1,100 を繰越(符号反転して加算) |
| 商品期末たな卸高 | 1,100 | 1,600 | 当月分 500 + 前月までの累計 1,100 |
関連ページへのリンク
- 月次推移表における棚卸資産の繰越表示機能リリースのお知らせ(アップデート情報)